平成27年卆 鈴木 康平

 2023年4月8日、日吉キャンパスで実施された早慶合同稽古に出席いたしました。新型コロナウィルス絡みでの卒業生の参加制限は昨年より解けておりましたが、私はコロナ禍以前よりしばらく早慶合同稽古への参加をしておりませんでしたので、勇気を出しての参加となりました。

 稽古に参加しての1番の感想としては、私が現役の部員でいたころよりも、早慶互いの距離が近いように感じました。自由時間には和気藹々、各学年同期同士で笑顔と会話が交わされ、稽古が始まれば真剣に互いの技を学び、これぞ早慶のあるべき関係とでも言うような清々しさを感じました。

 また早稲田大学の学生の皆様は、私が現役だった頃と比べて怪我が少なかったように見受けられました。私が現役だった頃は皆満身創痍という風情で、どこかにテーピングの跡が見え隠れしていたものですが、今回の稽古ではそのような部員も少なく、安全への意識が高まっているように感じました。

 またそれは彼らの稽古にも表れていることを感じました。どうしても自分が現役だった頃と比較してしまいますが、当時は引き立て稽古ですら乱取りさながらで、捨て身のような当身技が当たり前、気をつけていないと頭を打ちそうになったものですが、今では決してそのようなこともなく、早慶互いに適度な緊張感と敬意をもって技を掛け合っている、そのような印象でした。

 本来ライバルとは、互いに好ましい変化を促す存在でなければなりません。そういった観点から見ると、コロナ禍という物理的な隔たりと、これからの再出発は、慶應合氣道部と早稲田合気道部両者の関係と、早慶のあり方を今一度模索する契機とできるのではないかと感じました。

 一方で、こうして他流派の合気道部との関わりを見ている中で、慶應の部員にはまだまだ頑張って欲しい、まだまだやれる、という想いも強く持ちました。自身が学んでいる心身統一合氣道、心身統一道というものを今一度信じていただき、断乎として日々の稽古に精進していただきたい。その先にきっと輝かしい結果が待っているはずです。

 私はと言えば、道半ばではありますが指導者としての御役目をいただいて早7年、8年ほどが経ち、またいち修行者としても四半世紀を超えた今、心身統一合氣道の稽古をやっていけば早稲田には勝てる、と確信を得ましたので、持てる限りの知識、技術をお伝えしていきたいと思います。

 早慶合同稽古に参加した卒業生が、両校とも大半が私より歳下になってしまったことには軽い衝撃を受けましたが、早稲田の卒業生の方が慶應と比べ参加者が多く、アウェーである日吉での合同稽古にまで足を運んでいただいていると言うのはまったく頭が下がります。それはつまり卒業後も稽古を続けている若手が多いということではないでしょうか。

 大学を卒業すれば職場が東京から遠く離れることもあり、人によっては結婚する、子どもを持つというライフスタイルの変化がやってきて足が遠のくことは仕方のない部分にしろ、ぜひ卒業生の皆様には顔を出す、口を出すところから、ちょっとずつでも現役部員の応援を通じて、部の活動を盛り上げていっていただければ幸いです。若手、ミドル、シニアの皆様のご参加心よりお待ちしております。